日本特有の牛ウイルス性下痢(BVD)の伝播解明のために、ウイルス学的および疫学的調査を行った。地域におけるBVDの発生と病原性ウイルス遺伝子型を調べたところ、特定の遺伝子型のウイルスは動物の移動を介し、市場など多数の動物が接触する場を経由していることがわかった。またネットワーク解析により、BVDのリスクは動物移動の頻度に相関があることが予想された。血清疫学調査による肉用牛の月齢別抗体陽性率から、調査対象農家のBVDウイルス伝播速度を算出し、基本再生産数の推定を試みた。さらにワクチン非接種地域におけるBVDに関する疫学調査を行ったが、ワクチン接種や移動に伴う有意なリスク要因は見当たらなかった。
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