研究課題/領域番号 |
19K06378
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
大塚 弥生 岩手大学, 農学部, 客員准教授 (30396303)
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研究分担者 |
山崎 真大 岩手大学, 農学部, 教授 (40322846)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | バベシア症 / 血小板減少症 / 分子病態 / 抗血小板抗体 / 血小板抗原 / 血小板活性化因子 |
研究実績の概要 |
初年度は①B. gibsoni原虫感染犬血清中における抗血小板抗体の存在の検証と、②抗血小板抗体の抗原となりうる血小板タンパク質および③B. gibsoni原虫タンパク質の同定を試みた。①について健常犬より回収した血小板を2次元電気泳動しウエスタンブロット後、急性B. gibsoni原虫感染犬および健常犬の血清とそれぞれイムノブロットにより反応させた。その結果、B. gibsoni感染犬血清だけに特異的に反応性を示す血小板タンパク質のシグナルは観察されなかったが、健常犬および感染犬血清両者と強い反応性を示すシグナルが得られ、抗血小板抗体の存在が確認された。反応したタンパク質を血小板抗原の候補とした。次に②について、①より得られた候補タンパク質を同定するため、CBB染色にてゲルより得たスポットを回収しLC/MS分析を行った。その結果、数種のアクチンネットワーク系の細胞骨格タンパク質や血小板活性化因子などが同定された。現在これらのタンパク質が血小板抗原となりうるかについて検証を行うため、血小板由来RNAから遺伝子をクローニングし、リコンビナントタンパク質を作成している。さらに、③について原虫感染赤血球enriched画分を密度勾配遠心法により得るため、比重遠心液の条件調整を行った。Percoll液を希釈し、1.080 g/dlおよび1.115 g/dlの2層による勾配により、80%近い寄生率のenriched画分を得ることに成功した。現在①②と同様の方法で急性B. gibsoni原虫感染犬および健常犬の血清と反応するタンパク質を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度計画通り、抗血小板抗体の存在の検証と抗原タンパク質の同定を実施しているため。
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今後の研究の推進方策 |
LC/MS解析にて同定されたタンパク質について、真に抗血小板抗体と反応する抗原タンパク質となりうるか、また血小板活性化因子と同じような機能を持つ可能性のあるB. gibsoni原虫蛋白質を同定し、血小板凝集に対する効果を示すかどうかについて、リコンビナントタンパク質を作成して解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
B. gibsoni原虫の大量培養のためにCO2インキュベーターを購入予定であったが、既存のもので十分に行えたこと、MS解析を外部業者へ依頼を行う予定でいたが、学内共通機器が利用可能であったため繰越金が生じた。繰り越し分はイヌ血小板活性化試験を外部委託するために使用する予定である。
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