研究課題/領域番号 |
19K06382
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
齊藤 暁 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30621792)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フラビウイルス / インターフェロン |
研究実績の概要 |
本研究では、フラビウイルスとI型インターフェロン(IFN)誘導性宿主因子との相互作用に着目することで、フラビウイルス宿主域決定メカニズムを体系的に理解することを目的とする。多くのフラビウイルスにおいて、自然宿主と他の動物種ではウイルス感染感受性が異なる可能性が示唆されているが、この宿主域がどのようなメカニズムで決定されているかは十分に解明されていない。そこで本研究では、フラビウイルスとIFN誘導性宿主因子との相互作用が宿主域決定要因になるとの仮説に基づき、これまでに獲得しているIFN耐性ジカウイルスについての知見と、最近樹立した高効率な新規reverse genetics法を駆使することで、上記仮説の検証に取り組んでいる。これら検証を複数のフラビウイルス、動物種由来細胞について進めることで、フラビウイルス宿主域とIFN感受性との関連を分子ウイルス学的に明らかにしていく。 今年度、まず、IFN耐性ジカウイルスについてIFN耐性に重要な変異の同定に取り組んだ。IFN存在下で長期培養を行なったウイルス株について、次世代シークエンサーを用いて元株との配列の比較を行なったところ、元株には存在しない変異を複数同定した。また、フラビウイルスの宿主域決定に関与する可能性のあるIFNについて、その種特異性を検討するため、複数の哺乳類由来細胞からIFNのcDNAを抽出し、大腸菌内で大量に発現、精製することで各種動物由来IFNを作製した。また、IFNによって誘導される各種IFN誘導性遺伝子の発現に重要なStat2遺伝子をノックアウトした細胞株を複数樹立しており、現在その評価を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度、まず、IFN耐性ジカウイルスについてIFN耐性に重要な変異の同定に取り組んだ。IFN存在下で長期培養を行なったウイルス株について、次世代シークエンサーを用いて元株との配列の比較を行なったところ、元株には存在しない変異を複数同定した。また、フラビウイルスの宿主域決定に関与する可能性のあるIFNについて、その種特異性を検討するため、複数の哺乳類由来細胞からIFNのcDNAを抽出し、大腸菌内で大量に発現、精製することで各種動物由来IFNを作製した。また、IFNによって誘導される各種IFN誘導性宿主因子の発現に重要なStat2遺伝子をノックアウトした細胞株を複数樹立しており、現在その評価を進めている。 今年度、IFN耐性ジカウイルスについて、その変異の影響を解析する予定であったが、研究代表者の異動に伴って実験の進捗に遅れが生じている。現在、遺伝子組換え実験の申請の手続きを進めており、承認が得られ次第、上記実験で同定した変異の生物学的意義を解明していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の異動に伴ってIFN耐性ジカウイルスに関する実験の進捗に遅れが出ているが、遺伝子組換え実験の承認が得られ次第、すでに同定している特徴的な変異の意義を明らかにしていく。また、今年度までに作製した各動物種由来IFNと各種ノックアウト細胞を用いて、IFN処理細胞における遺伝子発現をRNA-Seqで評価する。また、改変した細胞にフラビウイルスを感染させて、ウイルス増殖レベルを定量するととともに、感染細胞からのIFN産生をISRE-luciferaseレポーター細胞を用いたバイオアッセイで評価していく。これらの作業により、フラビウイルス宿主域におけるIFN誘導性宿主因子の役割を明らかにしていきたい。次年度においても学会発表や学術論文として研究成果を積極的に発表していきたい。
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