研究課題
基盤研究(C)
本研究では、犬と猫の糸球体疾患における上皮間葉転換について検索を行った。糸球体疾患を発症したのは殆どが犬であった。腎生検により糸球体疾患が診断された犬の腎臓について免疫組織化学的解析を行った結果、犬の糸球体疾患では、その病型にかかわらず上皮間葉転換の発現および筋線維芽細胞の出現を認めることが明らかになり、筋線維芽細胞が出現するメカニズムとして上皮間葉転換が起こることが犬の糸球体疾患でも証明された。一方、上皮間葉転換以外のメカニズムでも筋線維芽細胞が出現することも示唆された。
獣医腎泌尿器病学
糸球体疾患は難治性かつ進行性の腎疾患である。本疾患は人だけでなく犬や猫にも発生し、特に犬で多く発生する。犬や猫では、糸球体疾患の根本的な治療は難しく、本疾患に罹患した動物の飼い主の心的および経済的負担は非常に大きい。本疾患の予防および治療に有効的な方法を見出すには、その病理学的な進行機序を明らかにする必要がある。本研究の成果は、その機序の一つである上皮間葉転換について明らかにしたものとして学術的および社会的な意義を有している。