犬の乳腺腫瘍は、ヒトや猫の乳腺腫瘍ではみられない組織亜型が存在し、筋上皮細胞増殖、骨および軟骨増殖を示す特有の腫瘍が形成される。しかし、それらの亜型の腫瘍発症機構は未だ解明されていない。本研究では、犬に特有な乳癌の発症・病態形成機構の解明のために乳腺腫瘍由来の三次元オルガノイドの特性解析を行った。 形成されたオルガノイドの形状はいずれも球状ないし不整形であり、組織学的には管腔形成、充実性増殖、扁平上皮化生を示すものが認められた。オルガノイド構成細胞は、免疫組織学的にCK18、p63に陽性を示し、腺上皮および筋上皮細胞が確認された。形成されたオルガノイドは生体の乳腺組織を模倣していた。
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