研究課題
愛玩動物のSFTS発症予防は、人への感染リスクというOne Healthの観点からも重要である。特にネコは発症すると致死率は60%と非常に高い。高い致死率はネコへの実験感染でも確認された。発症ネコや発症イヌから獣医師、獣医看護師、飼育者への感染が多数報告されてきた。これまで、SFTSの不活化ワクチン、DNAワクチンの有効性をネコの実験感染モデルで解析したところ、DNAワクチンの方が有効であったが、感染は防御できず発症防御効果が認められた。DNAワクチンで十分な免疫誘導するには4回接種が必要であった。そこで、本研究ではウイルス様粒子(VLP)ワクチン候補を作出した。VLPワクチンを選択したのは、1)3種病原体等に指定されているSFTSVを大量培養して不活化ワクチンを製造することは実用上困である、2)弱毒ウイルスは弱毒ウイルス株の作製に時間がかかり、さらに強毒株への病原性復帰リスク等の問題がある、3)VLPはdendric細胞等の抗原提示細胞に取り込まれMHC class I及びclass II応答を刺激する、4)VLPは組換えで製造するため安全である、5)VLPにはSFTSVのNSsやL蛋白質を含まないため、”differentiate infected from vaccinated animals (DIVA)”が可能であるなどの理由による。 そこで、組換えワクチニアウイルスによりSFTSVのGPCとNPを共発現すると、RK13細胞で効率良くVLPが産生された。 VLPをアルミアジュバンドと細胞性免疫も誘導できることが知られているコメ由来のdsRNAアジュバントを用いてI型インターフェロンレセプターKOマウスを免疫して効果を比較した結果、両者に差がなかった。ネコの感染実験ではVLPワクチンをアルミアジュバントで免疫すると不活化ワクチンと同程度のワクチン効果であった。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
PLOS ONE
巻: 16 ページ: e0238671
10.1371/journal.pone.0238671