研究課題/領域番号 |
19K06400
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
遠藤 なつ美 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40726684)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 経腟投与 / エストラジオール / 発情同期化 |
研究実績の概要 |
現在の酪農現場では、乳牛における卵巣障害の増加や受胎性低下への対処策として、プロスタグランジンF2α(PG)やエストラジオール(E2)等の投与による発情・排卵誘起法へのニーズが高まっている。受胎率への効果を期待して複数の注射剤を定時的に投与するプログラムが次々と開発されているが、卵胞発育を完璧に制御することは難しく、治療費や作業負担の増加に見合う程の効果が得られないのが現状である。腟経路での投薬法により、徐放性や溶出パターンを制御した最新の徐放技術を応用すれば、卵胞発育を効果的に刺激し得る内分泌環境を作出できる可能性がある。本研究では、徐放基剤の組み合わせにより持続徐放やパルス状徐放など生理的なホルモン分泌様式に匹敵する徐放パターンを作出し、卵胞発育への効果に加えて、発情発現・排卵時期といった受胎性を左右する要因への影響を解明し、臨床現場での実用化を目指して以下の実験を行った。 安息香酸E2は、発情同期化処置においてPG投与後24時間に筋肉注射することで発情を誘起することができるとされている。本研究では安息香酸E2を腟坐剤とともに小カプセルに入れた後、徐放基剤を入れた大カプセルの中心に小カプセルを入れることにより、腟内に投与した後、一定の時間(タイムラグ)を経過してから溶出するように調節した。このタイムラグE2カプセルをPG投与の際にPGと同時に投与したところ、従来法である筋肉注射でのE2投与を行った場合と同等の発情誘起効果が得られることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2月頃までは順調に研究を進められたが、3月よりコロナウイルス感染症の流行により、実験を進めることができず、今後の研究は遅れていくことが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスの流行が終息し実験が開始できるようになったら、遅れている実験を速やかに開始し、データの採取を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物の飼料代や実験器具や試薬などの消耗品の購入が予定よりも少なかったため、次年度に繰り越してしようすることにした。
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