研究課題/領域番号 |
19K06402
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
曽田 公輔 鳥取大学, 農学部, 講師 (00582983)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ニューカッスル病 / ベトナム / 家禽 |
研究実績の概要 |
2019年10月から2020年2月にベトナム北部のハノイ市およびクアンニン省、中南部のニャチャン市、および南部のロンアン省の生鳥市場の家禽(アヒル、バリケンおよびニワトリ)250羽の咽喉頭およびクロアカ(総排泄腔)のスワブ材料を採材するとともに、採血を行って血清を分取した。2020年度に、これらのスワブ検体を発育鶏卵に接種し、ウイルス分離を試みたところ、計91株の赤血球凝集能を有する微生物が分離され、うち84株からA型インフルエンザウイルスのヘマグルチニン遺伝子が検出された。残りの7株は本研究でターゲットとしているニューカッスル病ウイルス(NDV)である可能性があり、今後日本に輸入後同定を試みる予定である。また血清についても後述の抗NDV抗体の検出に今後供する予定である。 先にベトナムの家禽から分離されたNDVであるLBM879株を基に作成した不活化抗原を用いて、前年度より引き続いてベトナムの家禽の本株に対する抗体保有状況を現在まで継続して調べている。2020年度は新たにハノイ200検体(2017年10月~2019年2月採材分)およびクアンニン省100検体(2014年6月~2016年3月採材分)について赤血球凝集阻止試験を実施し、それぞれ1および6検体の陽性例が認められた。本結果から、昨年度報告と同様にNDVは鳥インフルエンザウイルスと比較して、ベトナムの家禽における浸潤度は低いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ベトナムの家禽におけるウイルスサーベイランス自体は予定通り行い、鳥インフルエンザウイルスか否かの初動の検査は実施できたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、運送会社の都合等により、その後の日本への輸入が大幅に遅れた(2021年3月受取)。そのため、直近の分離ウイルスの検討や、血清学的診断が2021年度にずれ込んでいる状況である。 また2020年度冬季は日本国内で高病原性鳥インフルエンザが家禽及び野鳥で多数発生し、農水省および環境省からの委託診断により、本研究実施担当者が本研究の遂行に時間を確保できなかった点も合わせて遅延の理由となった。
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今後の研究の推進方策 |
当初想定していたよりも、ベトナムの家禽から分離されるNDVが限られており、申請書に記載した項目のうち、「参照株の抗原性解析や病原性解析」が多角的に展開できない流れが見込まれる。まずはベトナムの家禽の血清疫学調査を重点的に2021年度は実施し、ベトナム家禽のNDV抗体保有状況を時系列ならびに地政学的に明らかにすることを一義的な目標とする。 未だ輸入できていないサンプルもベトナムの研究機関に残されている現状から、輸入手続きを引き続き継続していくが、2021年度中の事業終了が困難な場合は、1年の延長申請も検討し、当初計画の完了を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響によるベトナムからの検体送付の遅れ、ならびに日本国内における高病原性鳥インフルエンザに係る検査業務により本研究遂行者の研究時間が確保できなかった点が挙げられる。2021年3月に直近のサンプル輸入が一部完了しており、繰越額は本サンプルに係る実験に要する経費に充てるとともに、引き続き事業3年目の研究活動を行っていく予定である。
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