研究課題/領域番号 |
19K06405
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
西田 英高 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00622804)
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研究分担者 |
田畑 泰彦 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (50211371)
秋吉 秀保 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50420740)
城 潤一郎 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (60511243)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / エクソソーム / イヌ / 抗炎症 |
研究実績の概要 |
既存の治療では回復が認められない脊髄損傷に対する新たな治療法として、幹細胞を用いた治療の有効性が報告されている。間葉系幹細胞から分泌されるエクソソームは静脈投与によって組織の修復を促進するが、静脈投与されたエクソソームが損傷部に到達するのはごく一部である。エクソソームを局所に留まらせ、その効果を長期間持続させるための徐放化技術の開発が臨床応用に向けて重要である。開発するエクソソームの徐放化技術が確立されれば、少量のエクソソームで効果を長期間持続することが可能となり、 臨床応用へ向けた新たな再生医療技術となり得る。本研究は、幹細胞由来エクソソームを用いた中枢神経損傷に対する新規治療法の基盤技術を獣医療及び人医療で確立することを目的に、本年度は主にエクソソームを徐放するためのハイドロゲルについて検討を行っている。 Serum Free Mediaを用いて、イヌ間葉系幹細胞の培養上清を回収し、超遠心法を用いてエクソソームを回収した。また、架橋度の異なったハイドロゲルの作成に成功した。イヌ間葉系幹細胞由来エクソソームをハイドロゲルに浸漬させ、エクソソームがゲルに結合することを確認した。次に、これらをin vitroにてコラゲナーゼによって分解したところ、ゲルの分解と共にエクソソームが徐放されることが明らかとなった。また、架橋度の違いによって、エクソソームの徐放速度を調整することが明らかとなった。さらに、これらのエクソソームは、リポポリサッカライドによって刺激されたミクログリア細胞株の炎症性サイトカインを抑制した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エクソソームの徐放が可能なハイドロゲルの作成に成功し、ハイドロゲルの架橋度の違いによってエクソソームの徐放速度を調整することができたため、以後の研究を進める目処が立った。
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今後の研究の推進方策 |
1. 生体内におけるハイドロゲルの分解及びエクソソームの徐放化に関する検討 in vitroで認められたハイドロゲルの分解及びエクソソームの徐放がin vivoにおいてもか強度の違いによって調整可能かどうかを検討する。 2. in vitroアッセイの確立 間葉系幹細胞の培養上清は神経細胞の細胞死を抑制し軸索を伸張させることから、間葉系幹細胞由来エクソソームには神経細胞の修復及び再生に寄与する因子が含まれていると予想される。そこで、神経成長因子を添加した培地を用いて傷害された神経細胞に対するエクソソームの効果を軸索の伸長及び細胞死を抑制するかどうか検討する。
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