研究課題
牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)の伝播性は175番目塩基の多型との関連性が示唆されたため、この事象が多くの株で共通しているか、ゲノムの欠損がない107の野生株の多型を解析した。その結果、3株以上で共通して認められる多型が222箇所存在することが明らかになった。それら多型とウイルス産生量の解析をした結果、1塩基多型により有意にウイルス産生量に影響する塩基が87箇所存在し、最もP値が低いものは過去の解析と同様、175番目塩基の多型であることが明らかになった。このことから、この多型と伝播性の関連が多くの株で共通していることが示唆された。さらに、農場の経時的な調査を行った結果、175番目塩基がTである(175T)株とCである(175C)株が同程度の比率であった農場で、4年後には8割以上が175C株で占められており、有意に175C株が優勢になったため、175C株が高伝播性株であることが明らかになった。次に、上記の多型と病原性に関連するin vitroの形質転換誘導能を解析した結果、gag領域の104番目アミノ酸置換が形質転換誘導能を有意に変化させることが明らかになった。しかし、キメラウイルスの解析を行った結果、gag領域以外のmicro RNA領域の組換えでも形質転換能が変化することから、複数の領域が病原性に関与することが示唆された。そこで、遺伝的に近縁であるが、形質転換誘導能が異なる6株を用いて遺伝子発現パターンを解析した結果、遺伝的に近縁の株ではなく、同じ病原性を示す株で類似したパターンを示した。これらのことから、異なる遺伝的特徴の強毒株または弱毒株でも、宿主への影響は類似していることが示唆された。以上のことから、病原性に関連する遺伝的特徴は複数存在することが考えられるが、その病原性発揮メカニズムは類似していることが示唆された。
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