現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は関節内癒着に対するの予防効果の検証を主目的として研究を遂行した。健常ラットに膝関節楔形切除術を行った(WIラット、雄、5匹、体重400~470g)。不溶化ヒアルロン酸膜を術中関節内に適応させ、対側には関節手術のみで被検膜を適用させないコントロールとした。術後は被検膜適応の有無に対する患肢使用程度の検証を行った。大腿円周長による大腿筋群および膝関節上部・下部の周囲長による膝関節周囲筋群の廃用性萎縮程度について、両群の術後の変化を計測した。またゴニオメーターを使用し、膝関節の屈曲角度と伸展角度を両群とで計測し、ROM(関節可動域)についても検証した。結果は次のとおりである(A: 実験群; B: コントロール群)(統計使用: Mann-Whitney U)。 大腿部長(Median A, 80.00mm, B, 71.00mm; P=0.0397*)、膝上長(Median A, 65.00mm, B, 55.00mm; P=0.0159*)、膝下長(Median A, 40.00mm, B, 38.00mm; P=0.6429)、膝関節ROM(Median A, 114.0度, B, 70.00度; P=0.0079**) 大腿部長・膝上長・ROMにおいて、両群間で有意差が認められた。以上から、不溶化ヒアルロン酸膜をラット関節内に使用することにより、大腿部および膝上周囲筋群の廃用性萎縮の低減とROM減少軽癒に有効である可能性が示唆された。 本研究遂行と同時に被検膜の経時的分解過程の解明についても協力企業と共同して進めてきたが、これらの研究が論文として査読付き国際学術誌に受理・掲載された。
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