研究課題/領域番号 |
19K06414
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
下島 昌幸 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 室長 (10422411)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | Issyk-Kul熱 / Issyk-Kul virus / Soft tick bunyavirus / 治療 / 抗体 |
研究実績の概要 |
中央アジアのタジキスタンでヒトに熱性疾患Issyk-Kul熱を引き起こしているIssyk-Kul virus(ISKウイルス)と類似のウイルスが東南アジアやアフリカ、近年ではヨーロッパで見つかっている。日本でもSoft tick bunyavirus(STBウイルス)が見つかっており、我々はISKウイルスとSTBウイルスの比較を行なってきた。マダニ由来細胞での増殖性の差、IFNAR1-KOマウスでの死亡までの日数の差が明確にあること、しかしウイルスの臓器指向性や過剰な炎症反応を起こす性質などには違いがないことを明らかにしてきた。STBウイルスによるヒトの感染性疾患は報告はないが、マウスでの病原性はISKウイルスと似ておりヒトに病原性を示す可能性があると考えられる。 今年度はISKウイルスとSTBウイルスの感染細胞の特定をIFNAR1-KOマウスモデルで調べた。両ウイルスとも肝臓等のマクロファージに感染していることが判明し、やはり類似の性質があることが示された。また、Issyk-Kul熱の治療法開発として、ISKウイルスの蛋白質に対するマウス単クローン抗体を作製してその治療効果を調べた。作製した4種の単クローン抗体は単独では治療効果を示さないが、4種混合すると治療効果を示すことが判明した。比較のため抗インフルエンザ薬として承認されているアビガンを用いたところ良好な治療効果が認められた。治療においては機序の異なる複数の薬剤を用いるとその効果が高まることが一般に知られており、単クローン抗体混合の治療効果のメカニズムを解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定としている研究項目が順当に実施されているため。
|
今後の研究の推進方策 |
Issyk-Kul熱のIFNAR1-KOマウスモデルで見られた単クローン抗体4種混合の治療効果について、そのメカニズムを解明して更に効率の良い治療法の開発に役立てる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度末納品等にかかる支払いが、令和3年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和2年度分についてはほぼ使用済みである。
|