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2019 年度 実施状況報告書

バクテリオファージを活用した大腸菌症の予防対策に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K06419
研究機関鳥取大学

研究代表者

尾崎 弘一  鳥取大学, 農学部, 准教授 (80396332)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード大腸菌症 / バクテリオファージ
研究実績の概要

バクテリオファージは細菌感染症の予防に応用できると考えられる。農場環境にファージを散布することを想定し、ファージ液をスプレーにより疑似的鶏舎環境に噴霧したときのAvian pathogenic E. coli (APEC)の減少効果を検討した。
県内の8つの下水サンプルからこれまでに分離収集したファージ「未純化サンプル」ならびに未純化サンプルにプラーク純化を実施した「純化サンプル」を供試した。未純化または純化サンプル単独及び純化サンプル2つを混合したカクテルを用いて噴霧試験を行い、疑似的鶏舎環境に存在するAPEC株の生残率を算出した。
13種の純化サンプルをAPECに噴霧した結果、生残率は1.4~62.9%であった。同じ宿主に対するファージでも溶菌効率の異なるファージの存在が示唆された。カクテルを用いた場合、2組を除き混合した2種の純化サンプルの生残率の中間の成績となった。2組はそれぞれ生残率が上昇または低下した組み合わせであった。一方、未純化サンプルと純化ファージ単独の噴霧試験の成績を比較した結果、生残率は純化サンプルの成績の約1割~8割改善された。未純化サンプルには溶菌効率の良い多種類のファージが存在するためと考えられた。以上の結果から、環境から分離されたファージを農場環境に噴霧する際には、未純化ファージを用いた方がより細菌の減少効果が期待できると考えられた。
養鶏農場に存在する集団として分離されたファージがAPECを減少させるかを確認するため、鶏舎内敷料分離大腸菌に、同じ鶏舎内の飲み水から分離されたファージを噴霧したところ、細菌の減少効果が農場ごとに固有の関係にあることが認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに当研究室において下水より分離したファージ株を用いて大腸菌とファージの数的関係を整理することが出来た。感染多重度を10の5乗として噴霧した時に効率的に平板上の大腸菌の発育を抑止することが明らかとなった。また異なる農場由来の敷料サンプルと飲水サンプルから大腸菌の集団とそれを宿主とする「ファージの集団」を分離することが出来た。これらの成績は小課題1および小課題3-a)の一部をクリアする結果である。

今後の研究の推進方策

農場由来のサンプルから「ファージの集団」を分離することが可能であった。農場に存在する大腸菌とファージとの関連が固有のものであることを今後さらに農場数を増やし、農場における大腸菌症予防には農場固有のファージを用いることが有効であることを証明する成績を得る。
また、分離されたファージ群に含まれるテンペレートファージの存在を確認し、その性状を詳細に解析する。小課題2に挙げた、薬剤耐性菌対策のためのλファージを用いた「大腸菌の薬剤感受性化」に取り組む。基質拡張型βラクタマーゼの相補鎖を発現するプラスミドならびにλファージの作出に着手する。

次年度使用額が生じた理由

2~3月における農場での検体採取を依頼していたが、農場と採取者側の都合により検体収集が不可となった。従ってそれに係る容器・機材ならびに輸送費の経費が余剰となった。これは翌年度改めて採材を依頼する際に同じ費目として使用することとする。

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公開日: 2021-01-27  

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