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2020 年度 実施状況報告書

バクテリオファージを活用した大腸菌症の予防対策に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K06419
研究機関鳥取大学

研究代表者

尾崎 弘一  鳥取大学, 農学部, 准教授 (80396332)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードバクテリオファージ / APEC / ESBL / 相補鎖RNA
研究実績の概要

小課題1および3aとして、西日本の3つのブロイラー農場からニワトリを飼育中の敷料サンプルならびに同時期に給水された汲み置きの飲み水5か所分を採取した。敷料サンプルをDHL培地の液体部分に接種し、腸内細菌を選択的に増殖させた。その後培養物をXM-G培地に塗布し、青色を呈する大腸菌コロニーをランダムに20~30個分離した。分離した青色コロニーはPCRにより大腸菌固有の遺伝子の保有を確認した。分離した大腸菌はプールして各農場に存在する「大腸菌集団」として使用した。
3農場由来の飲み水に上記の「大腸菌集団」を宿主として添加し、ファージサンプルとして調製した。「大腸菌集団」を100cfuとなるようにLB平板に塗布した後、増殖させたファージ液の原液(10^5~10^6pfu/ml)を100μlずつ、2回噴霧した。平板に発育したコロニー数を計測し、ファージを噴霧していない平板のコロニー数との比を取り「発育阻止率」とした。各ファージサンプルの由来と同じ農場(自家農場)の大腸菌集団に対する溶菌効率は他の2農場由来の大腸菌集団に比べ有意に (p<0.05) 高かった。噴霧回数を4回に設定したところ、すべてのファージサンプルにおいて2回噴霧した場合に比べ、同じ農場由来の大腸菌集団に対する溶菌効率が高値を示す傾向が認められた。噴霧回数を増すことは溶菌効率を改善するうえで有効な方法である可能性が示唆された。
小課題2として、相補鎖RNAを用いた薬剤耐性菌の感受性化の実験系構築のため、当研究室で保有するブロイラー由来の大腸菌からblaCTX-M2、blaCTX-M14およびblaCTX-M15とその上流配列をPCR増幅し、各々pMW219ベクターにクローニングした。これらのプラスミドを持つ大腸菌はセフォタキシムに耐性化しており、ESBL産生菌であることが確認された。クローニングされた遺伝子の開始コドン近傍の配列を確認し、相補的なRNAを発現するプラスミドを構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナウイルスの情勢によりサンプルの調達を依頼していた者が農場内に入ることができず、当初予定していたものより少ないサンプル数で実施することとなった。本年度後半にはサンプルの収集が可能となったとのことであったため、順次農場由来のサンプルを収集して大腸菌ならびにファージの増幅を進めている。
サンプル調達の遅れから、本来本研究課題後半で実施予定であった薬剤耐性菌に対処するための相補鎖RNAの発現系の構築を先んじて進めることとした。ESBL産生大腸菌モデルの構築は完了したため、相補鎖RNA発現用プラスミドの構築を鋭意進めている。

今後の研究の推進方策

農場由来のサンプル数を増やし、分離されたファージの集団が自家農場に由来する「大腸菌集団」に優位に溶菌活性を示すことを確認するとともに、この予防法に関する将来性を検証する。
ESBL産生大腸菌モデルに相補鎖RNA発現プラスミドを導入し、薬剤への感受性がどのように変化するかを確認する。第一段階として薬剤ディスクを用いた表現型確認試験で性状を評価する。次の段階として最小発育阻止濃度ならびに薬剤存在下での大腸菌増殖速度を測定し、相補鎖RNA導入による薬剤感受性の評価を実施する。これらのモデルが有効であることが確認されたのち、相補鎖RNA発現プラスミドをファージに取り込ませ、ファージの感染によりプラスミドが導入され、前述と同様に薬剤への「感受性化」への可能性を評価する。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルスの影響のより農場のサンプルが必要数入手できなかったことによる「サンプル輸送費」およびそのため計画後半に実施する内容を前倒ししたため必要物品の支払額の差額が生じたため。サンプルは順次集積されているので次年度、差額にて必要物品の購入費の差額を埋める予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 環境分離ファージの噴霧による環境中Avian pathogenic Escherichia coli(APEC)の減少効果2020

    • 著者名/発表者名
      尾崎弘一、伊藤榛香、村瀬敏之
    • 学会等名
      第163回日本獣医学会 学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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