研究課題/領域番号 |
19K06425
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
樋口 豪紀 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (00305905)
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研究分担者 |
藤木 純平 酪農学園大学, 獣医学群, 助教 (30805114)
岩野 英知 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (60382488)
権平 智 酪農学園大学, 獣医学群, 助教 (80795089)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マイコプラズマ / 関節炎 / ウシ / 滑膜組織 / 免疫応答性 |
研究実績の概要 |
本研究では、獣医畜産領域で問題となっている子牛のマイコプラズマ性関節炎について、その病態解明に帰する生体の免疫応答性について解析を行った。マイコ プラズマは高度な免疫回避機構を有することが報告されており、本研究では関節という微小閉鎖空間組織に着目し一連の研究を行った。本年度は以下の点につい て解析を行った。 【研究項目1】M. bovis に起因するウシ関節炎の免疫学的特性の解明(2019年度) 方 法:M.bovisに起因するウシ関節炎の免疫学的特性について自然発症牛および投与試験個体より得られた材料によって、関節炎の組織形態、滑膜組織における免疫関連遺伝子の発現、関節液の成分分析を実施した。 結果として、関節炎の組織形態:感染初期では明瞭な変化を認めないものの、発症以降は滑膜の著しい肥厚、関節液の増量、好中球を中心とした白血球の強い誘導が確認された。 滑膜組織における免疫関連遺伝子の発現:感染個体より分離した滑膜組織を解析したところ、感染初期では明確な変化は認められないものの、感染3~4日で炎症性サイトカインを中心とした遺伝子発言の状況が確認された。同様のパターンは関節液より分離した白血球でも確認された。関節液の成分分析:感染3~4日で関節液の粘稠性は消失するとともに、滑膜組織および関節液中白血球で遺伝子増強が確認された炎症サイトカインの濃度上昇が確認された。以上の結果より、考察として、ウシ関節滑膜組織はマイコプラズマに対し感染初期では十分な免疫応答を示さないものの、中期から後期では強い炎症応答を惹起し、不可逆的な組織障害を誘導する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り進行しており、研究遂行上の問題も発生していない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は滑膜組織の構成細胞における免疫学的応答性を評価し、病態形成のメカニズムを解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要資材の購入価格が安価であったことと、実験方法を工夫することで、試薬等の消耗品費を圧縮することができた。
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