| 研究課題/領域番号 |
19K06431
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| 研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
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研究代表者 |
吉岡 都 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主席研究員 (80355198)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 肝臓由来細胞株 / 急性期蛋白 / ハプトグロビン / Serum amyloid A / ウシ |
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| 研究実績の概要 |
肝臓は、代謝の場である肝実質細胞と近隣の非実質細胞の相互作用により、種々の代謝調整を行っている。反芻動物であるウシは、ルーメン内の代謝が関わることで単胃動物と大きく代謝が異なっていることと、ウシを用いた飼養試験の経済的負担かつ動物福祉的観点から、ウシ特有の代謝機能を保持したin vitroアッセイ系の確立が求められている。申請者らは、ウシ肝臓由来細胞株を作出しており、肝実質細胞と非実質細胞の共培養が単独培養よりも薬物代謝関連遺伝子発現が向上することを見出している。本課題では、このウシ肝臓由来肝臓細胞の共培養系を用いて、薬物代謝や蛋白合成、糖および脂質代謝等の肝臓特有の機能を解析するとともに、肝実質細胞株と非実質細胞株の共培養による肝臓機能向上の機序を解明することを目的として研究を進めた。
ウシ由来肝実質細胞株（BH4、BH5）、非実質細胞株であるA26細胞およびB46細胞の単独培養を行い、1 ug/mlのLPSで48時間刺激後、ウシに特異的な急性期蛋白であるSerum amyloid A （SAA）およびHaptoglobin（HP）のmRNA発現をリアルタイムPCRで解析した。これらの急性期蛋白の遺伝子発現は、ウシ初代培養肝実質細胞の培養系でLPSにより誘導されることを確認している。数種の組合せの共培養を検討した結果、ウシ由来肝実質細胞株であるBH4細胞とウシ非実質細胞株であるB46細胞の共培養では、BH4細胞の単独培養と比べて、LPS刺激によるSAAおよびHPの急性期蛋白遺伝子発現の増強が認められた。以上より、ウシ肝臓由来肝実質細胞株と非実質細胞株の共培養において、LPS刺激によるSAAおよびHPの急性期蛋白遺伝子発現については、BH4細胞とB46細胞の組み合わせが最適であることが示唆された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の年次計画はほぼ予定通りに実施され、ウシ由来肝実質細胞株（BH4、BH5）と非実質細胞株（A26、B46）の数種の組合せの共培養における肝機能の向上効果について検討した。その結果、BH4細胞とB46細胞の共培養において、LPS刺激によりSAAおよびHPの急性期蛋白遺伝子発現が増強されることが判明した。
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| 今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度に肝機能向上が観察されたウシ由来肝実質細胞株（BH4）と実質細胞株（B46）の共培養効果について、培養形態による発現動態への影響要因の検索を行う。
具体的には、共培養による肝機能向上が、非実質細胞から肝実質細胞への生理活性物質のパラクライン等によるものか、または肝実質細胞と非実質細胞の異種細胞同士の接触によるものかについて検討する。また、非実質細胞の培養上清によって肝機能が向上した場合には、培養上清中に含まれるサイトカインや成長因子等の同定をELISAまたはHPLC等による分析によって検索する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の試薬キットの値段が残額で購入できなかったため、次年度予算と合算して購入することとした。
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