肥満になると体内に蓄積・貯蔵される脂肪酸の量(クオンティティ)が増加すると同時に、脂肪酸の質(クオリティ)も不飽和脂肪酸リッチから飽和脂肪酸リッチへの変化が認められる。近年、この脂肪酸クオリティの変化が、さまざまな疾患に潜む重要な要素であると考えられつつある。本研究の目的は長鎖脂肪酸クオリティが精子の運動性に与える影響の一端を解明することにある。 本年度は、不飽和脂肪酸刺激による運動亢進時に活性化する精子内シグナル伝達機構の検討をマウス精子で行った。その結果、不飽和脂肪酸による運動亢進時にはHCO3イオンおよびCaイオンチャネルCatSperを介したCaイオンの流入が起きることを明らかとした。
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