研究課題
基盤研究(C)
近年、肥満や低栄養など栄養状態の異常を起因とする不妊が家畜からヒトまで多くの動物で問題となっている。我々は長鎖脂肪酸に着目し、マウス精子の運動性に与える影響を検討した。その結果、不飽和脂肪酸は代謝エネルギーや膜の構成成分としてではなく、核内受容体であるPPARγを介して精子を活性化し、鞭毛運動を上昇させることを明らかとした。さらに、その運動上昇には、重炭酸イオン、CatSperチャネルを介した精子内へのカルシウムイオンの流入等の関与が明らかとなった。
繁殖学・生理学
本研成果の学術的意義は長鎖和脂肪酸が代謝エネルギーや膜の構成成分としてではなく、シグナル分子として精子の運動性を制御する生理的メカニズムについて明らかとした点にある。また、近年、世界的問題となっている肥満や低栄養が生殖に与える影響について新たな知見を加えることになる点が本研究の社会的意義である。