課題名「古代動物の体細胞核移植による再生に関する基礎研究」において、事業期間の最終年度である令和3年度では、古代動物の体細胞核移植は、古代動物の組織由来核ドナー細胞と現生の動物由来卵間の異種間核移植になるであろうことに基づいて、家畜処理場に由来するブタ卵巣から採集した未成熟卵を、令和2年度の研究より明らかになった5μg/mLのマイトマイシンCを加えた体外成熟培養培地で44時間培養して成熟させた卵を用いて実験を行った。卵の成熟培養後に、BioVision社のATP Colorimetric/Fluorometric Assay Kitを用いて卵1個あたりのATP量を測定したところ、マイトマイシンCを添加しなかった培地で成熟培養した卵では70.5±55.4pmolであったのに対して、マイトマイシンCを添加した培地で成熟培養した卵では75.8±58.9pmolであり、両処理区の間に差はなかった。この後、成熟培養を終了したブタ卵に活性化処理を行って単為発生させ、発生培養後24または48時間での単為発生胚1個あたりのATP量を測定したところ、マイトマイシンCを添加しなかった培地で成熟培養した胚では24時間で20.0pmol、48時間で28.3pmolであったのに対して、マイトマイシンCを添加した培地で成熟培養した卵では24時間で6.0pmol、48時間で2.1pmolであり、成熟培養中にマイトマイシンC処理した卵に由来する単為発生胚では、コントロールの単為発生胚よりも低いATPの濃度を示し、マイトマイシンC処理はミトコンドリアの複製だけでなく、ミトコンドリア機能の抑制にも有効であることが示された。
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