本研究では、これまでに報告されたIG-DMRの4.1 kb欠失マウスで認められた母方由来で周産期致死となる表現型の責任領域を探索することを目的としている。昨年度は、IG-DMR内部のGtl2側2.7 kb領域のより詳細な解析を行ってきた。今年度は、この2.7 kb領域とともに、父方アレルのメチル化維持に重要な役割を持ち、父方アレルでの欠失が胎生致死を引き起こすことがわかっている領域(IG-DMR-Rep)を同時に欠失したマウス(3 kb欠失)に着目した。3 kb欠失を父由来で遺伝させると、父方アレル上でIG-DMR-Repを欠如しているにもかかわらず、胎生致死がレスキューされる。この現象の詳細を明らかにするため、3kb欠失を父由来で遺伝したマウス胚のDNAメチル化解析を行った。その結果、Gtl2-DMRの父方アレルは野生型と同様に正常にメチル化されていることが明らかになった。しかしながら残存するIG-DMRは両アレルともに低メチル化を示しており、IG-DMRのDNAメチル化状態はIG-DMR-Repの欠失によって正常に維持できていないことが示唆された。
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