本年度はMG-H1またはArgpyrimidineを高感度に検出するELISA法の開発を目的に、それぞれに対するアプタマーの再クローニングを再度おこなった。具体的には、アプタマー作製法であるSELEX法のPCR条件について、DMSO濃度とMgイオン濃度を複数条件に変更した。その結果得られたアプタマーのDNS配列を解析したところ、昨年度の研究で得られたアプタマーと比べて、各アプタマーともGC含有率に違いがみられた。得られたアプタマーについて、それぞれ10クローンずつ選び、MG-H1またはArgpyrimidineに対する親和性をQCM法により測定したところ、親和性の大幅な上昇が確認できた。PCR条件の変更に伴った結果と推測できた。そこで、最も親和性の高かった各アプタマーをbiotin標識し、MG-H1及びArgpyrimidineを検出する競合ELISA法による定量を試みた。その結果、検出感度についても、より低濃度のMG-H1またはArgpyrimidineを検出することができた。しかし、生体内のMG-H1またはArgpyrimidineを検出するには十分ではなかったため、残り4個の各クローンを用いたELISA法の施工に加えて、アプタマーのbiotin標識部位の変更、スペーサー配列の挿入等をおこなった。その結果、検出感度について改善され、アプタマーによるMG-H1またはArgpyrimidineのELISA法の作製手法を開発することができた。 また、MG-H1のTHP-1細胞を用いたROS産生に対する、アプタマーの抑制効果についても、新たに得られたMG-H1アプタマーの効果を確認したところ、得られた5つのクローンのうち2個に効果が確認できた。 一方で、前年度の研究で解決されなかったin vitroにおけるArgpyrimidineの作用条件の決定についても、検討をおこなった。用いる細胞をTHP-1から血管平滑筋細胞に変更し、ROS産生に対する検討をおこなった。
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