研究実績の概要 |
1) 成長ホルモン受容体欠損(GR-KO)ブタのヘテロ同士で交配を行い、8頭 (ホモの雄3頭, 雌1頭:ヘテロの雄1頭, 雌2頭:野生型の雌1頭) の産子を得た。遺伝子型による生時体重の差は認められないが、ホモ個体では野生型およびヘテロ型と比較して2ヶ月齢以降の体重は低く、5ヶ月齢では50%以下であった。この結果は既報論文(Sci. Rep., 5, 15603, 2015: Mol. Metab., 11, 113, 2018)の結果と一致していた。 2) 5ヶ月齢のMeishan、Landrace、テストステロン(T)を投与した5ヶ月齢の去勢雄や雌の腎臓におけるCYPの発現をreal time RT-PCRで測定し、肝臓での結果と比較した。CYP1A1, CYP1A2の腎臓での発現は、肝臓とは異なり何れの品種でも性差はなくT-投与効果も認められなかった。CYP2A19, CYP2C33, CY2C49では、肝臓と同様の性差およびT-投与効果が認められた。一方、CYP2B22, CYP3A29, CYP3A46の腎臓での発現は、肝臓とは逆の性差およびT-投与効果が認められた。以上から、TによるCYP発現制御には臓器選択的因子の関与が示唆された。 3) マウスの成長ホルモン(GH)依存的な性差発現に関わるとされるSTAT5b, BCL6, CUX2について、ブタの肝臓における遺伝子発現にT依存性が有るか否かを2)と同様にして解析した。STAT5bおよびBCL6の発現には性差およびT投与効果は認められないが、CUX2は両品種ともに雄>雌の性差および雄の去勢による発現減少と去勢雄および雌へのT投与による発現上昇が認められ、アンドロゲンがCUX2発現の制御に関わることが示唆された。また同様に、腎臓でもCUX2の発現に雄>雌の性差が認められた。
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