研究実績の概要 |
1) 成長ホルモン受容体欠損ブタ(GHR-KO)として、新たに得た遺伝子型ヘテロの♀4頭と♂1 頭を加え、合計13頭(野生型(WT)の♀1頭、ヘテロの♂2頭と♀6頭、ホモの♂3 頭と♀1 頭)を用いた。なお、WTとしてLandrace (L)および三元交雑豚のLWDも用いた。5ヶ月齢のブタの肝臓においてテストステロン(T)で負に制御される薬物輸送体OCT1および腎臓においてTで正に制御されるOCT2のmRNA量を real time RT-PCRで測定した結果、WTとGHR-KO間に差は認められず、それらの構成的発現にGH/GHRシグナルは関与しないことが示唆された。 2) 1ヶ月齢のLに既報の方法 (Biochem. Pharmacol., 75, 1076-1082, 2008)でTを投与し、投与後の血中T, インスリン様成長因子1(IGF1)およびGH 濃度をELISAキットで測定し、未投与群と比較した。T投与で血中T濃度は未投与群の10倍以上に上昇するが、血中GHおよびIGF1濃度に変動は認められず、T投与はそれら血中濃度には影響しないと考えられた。なお、薬物代謝酵素・輸送体のT依存的発現にGH/GHRが関与するか否かを明らかにするためのGHR-KOへのT投与実験は、GHR-KOを確保できず実施できなかった。 3) マウスの肝臓でGH依存的な性差発現に関わるとされる転写因子CUX2がブタの肝臓ではTで正に制御されていることを見出したため、肝臓のCUX2 mRNA量とTで正に制御されるCYP2C33、負に制御されるCYP1A2, CYP2A19, CYP2E1の各mRNA量との関連性を解析した。CYP2C33とは正の、CYP1A2, CYP2A19およびCYP2Eとは負の関連性が示され、T依存的に発現するCUX2が上記CYPのT依存的制御に関わる可能性が示唆された。
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