研究課題/領域番号 |
19K06476
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
中西 友子 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 博士研究員 (10344863)
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研究分担者 |
斎藤 泉 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, チームリーダー (70158913) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / 多重ガイドRNA / Cas9 nickase / 一体型アデノベクター / フェニルケトン尿症 / ノックイン |
研究実績の概要 |
アデノウイルスベクターは8 kbまで搭載可能だが、我々は最近、更に搭載量を増やしたアデノベクターの開発に成功した。このアデノベクターを用いて本年度は、マウスでの遺伝子治療モデルを構築することを目指して、Cas9と比較してオフターゲット切断が少ないCas9 nickaseと2個のガイドRNA、ドナーDNAを保持する新しい一体型アデノベクターの開発を進めた。まず、フェニルケトン尿症モデルマウスの原因遺伝子であるフェニルアラニン水酸化酵素(PAH)を標的として、試験管内でのガイドRNA切断効率解析法を確立することで、点変異の近傍でCas9 nickaseにより効率良く二本鎖切断できる2つのガイドRNAを決定した。また、点変異を正常に戻すためのドナーDNAにガイドRNAにより切断されないように変異を入れると共に、一体型アデノベクター作製のためのコスミドを4種類構築し、うち2種類からアデノベクターを作製した。この一体型アデノベクターの作製は非常に難しかったが、工夫により効率良く作製できるシステムも確立した。次に、マウスの細胞はヒトの細胞と比較してアデノベクターの感染効率が非常に低いため、作製した一体型アデノベクターのゲノム編集効率を容易に検討できるように、変異型PAH遺伝子をHepG2細胞に導入した変異PAH/HepG2細胞株を作製した。この細胞株に作製した一体型アデノベクターを感染させて編集効率を検討したところ、ドナーDNAがノックインされることでPAH遺伝子が正常型に置換されていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フェニルケトン尿症のマウス治療モデル構築に向けた一体型アデノベクターの構築と、フェニルケトン尿症モデルマウスの繁殖が順調に進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
相同組換え効率が上昇する薬剤と組合わせることでノックインの効率化を進めると共に、フェニルケトン尿症モデルマウスを利用したin vivoでのゲノム編集治療モデルを構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
フェニルケトン尿症のマウス治療モデル構築のための一体型アデノベクターの構築が順調に進行したため、次年度に行う、モデルマウスへの一体型アデノベクター投与実験に使用する予定である。
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