研究課題/領域番号 |
19K06487
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北畠 真 京都大学, 医生物学研究所, 助教 (10321754)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リボソーム / 品質管理 / ユビキチン |
研究実績の概要 |
出芽酵母を用いてリボソームの品質管理の研究を行った。活性中心に塩基置換のある25S rRNAは品質管理機構25S NRDの経路により認識され選択的な分解を受けることが分かっており、それに関連するE3 Ubiquitin ligaseも自分たちのグループで同定しその関与を証明してきた。しかしながらこのE3 ligaseの活性をin vitroで示すことができておらず、この酵素が直接リボソームを認識して分解へ導くのか、あるいはこの酵素により分解された他の因子の不在がきっかけになってリボソームのユビキチン化が起こるのかなどの重要なポイントが明らかになっていなかった。 これまでのところリボソームの品質管理において鍵となる役割を果たす因子を同定し、その遺伝子のさまざまな部分にUAG終止コドンを挿入した変異株の作成に成功している。光架橋因子Bpaをこの位置に挿入するための変異酵素を同じ酵母に発現するところまで成功し、その挿入効率を改善するための改変をもとのプラスミドに施すところまで完了した。現在までに紫外線を照射してクロスリンクの実験ができるところまで状況をセットアップできた。しかしながら目的のクロスリンクを確認する実験には至っておらず、この鍵因子がE3 Ubiquitin ligase以外の何らかの因子に相互作用するのかなどの本質的な情報には到達することができていない。 またこの実験以外にもBioIDとよばれる融合タンパク質を用いた手法により、この鍵因子に近接する因子の探索を行った。しかしこちらも目的の条件を満たすタンパク質を見出すことはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
期間中にコロナウイルス問題による研究の停止やアルバイト学生の雇用の停止など、大きな制約を受けた時期が長期間存在したこと。さらに個人的なライフイベントにより研究実施が困難な時期があり、また所属研究室の閉鎖と研究場所の移転もあり、当初の予定どおりには研究は進捗していない。
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今後の研究の推進方策 |
大学の授業も対面方式にもどり、学部生のアルバイトの雇用も通常どおり行うことができるようになってきた。研究室の移転も無事にR3年度末に終了し、今後は通常通りの研究が行える状況になっている。これまでの遅れを取り戻すために精力的に取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施機関の予定3年間のうち2年間にコロナウイルスによるパンデミックがあり、実験停止期間があったことに加えて学生アルバイトの雇用の中断など大きな計画変更が必要となった。今年度はこの遅延を取り戻すためにアルバイトの雇用を増やし、また研究もキット等を利用したり、外部への受託を積極的に利用するなどして効率化をはかることで、当初の成果に到達したい。
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