【乳酸菌IleRSの解析】乳酸菌Lactobacillus plantarumとLactobacillus casei のイソロイシンtRNA合成酵素(IleRS)はアミノ酸配列が非常に似ている。しかしながら、L. casei IleRSはtRNAのアンチコドンがUAUであるtRNAIle(UAU)をアミノアシル化するが、L. plantarum IleRSはアミノアシル化することができない。その理由を探るため、これら2種IleRSのキメラ酵素および点変異酵素を調製した。これら酵素の解析結果より、tRNAIle(UAU)の認識に重要と思われるドメインを特定することができた。さらに、点変異酵素の反応速度論解析の結果から、tRNAIle(UAU)の認識にはGly18Gly19が重要であることを明らかにした。L. plantarum IleRSは当該アミノ酸残基がGly18Asn19であり、tRNAIle(GAU)をアミノアシル化することはできるが、tRNAIle(UAU)に対してはほとんど活性を示さない。以上の結果をまとめた論文は、FEBS Journal誌に受理された(Uesugi et al. doi: 10.1111/febs.16389. FEBS J (2022))。 【乳酸菌GlyRSの解析】富田耕造博士(東京大学)のグループとの共同研究により、乳酸菌L. plantarumのグリシルtRNA合成酵素(GlyRS)単独およびGlyRSと乳酸菌tRNA様 small RNAとの結晶化を行った。複合体は確認できなかったものの、GlyRS単独のX線結晶構造解析データを得ることができた。現在、生化学解析データと合わせ論文にまとめているところである。
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