研究実績の概要 |
本研究は、オーキシンデグロン法、スクリーニング、ライブセルイメージング、ゲノム科学的手法を駆使した網羅的且つアンバイアス解析を通して、未だその機能が謎に包まれているStructural Maintenance of Chromosomes (SMC) 複合体の1つ、ヒトSMC5/6複合体の全容を明らかにすることを目的としている。本年度はまず、前年度までに得られていた結果に関し、コペンハーゲン大学のグループとの共同研究結果を論文発表した(Venegas, Natsume et al., 2020, Cell Reports)。また、SMC5/6の染色体結合プロファイルの解析(ChIP-seq)や、SMC5/6を枯渇した場合のトランスクリプトーム解析(total RNA-seqやRT-qPCR)から、SMC5/6がDNA超らせん構造が蓄積する染色体領域に結合し、転写制御において重要な役割を果たしている事を示すデータを得た。さらに、SMC5/6の核内局在を、ライブセルイメージング解析等で観察した結果、近年膜のないオルガネラとして注目を集める、転写制御に関わるさまざまな核内ボディに局在することが分かった。これらの核内ボディへの局在機構に関する知見も、オーキシンデグロン法を用いた解析から得ることができた。これらすべての結果からモデルを構築し、様々な検証実験を行った。現在論文投稿の準備を行っている。コロナ感染拡大のため、本結果の学会やシンポジウムにおける発表は見送った。
|