研究課題/領域番号 |
19K06496
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
黒川 裕美子 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 特任研究員 (10381633)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ユビキチン / DNA / RNA / K63 / pH / Ubc13 / Mms2 |
研究実績の概要 |
2020年度は、pH依存的なUbc13 /Mms2の核酸相互作用残基の同定を目標として解析を進めた。 すでに2019年度の解析の段階で、分裂酵母Ubc13/Mms2の構造の予測と、塩基性残基の位置と種間での保存性をもとにした核酸結合可能領域の絞り込みは完了していた。2020年度ではその結果をもとに、Ubc13/Mms2変位体タンパク質を数種類作成した。精製した変異体タンパク質について、pH依存的な核酸相互作用についてゲルシフト法を用いてスクリーニングしているが、WTと比べて差はあるものの劇的に核酸結合能を損失した変異体は得られていない。同時にIPアッセイでUbc13-Mms2間ヘテロダイマー形成についても確認しているが、いくつかの変位体はヘテロダイマー形性にも影響が出ており、核酸結合にのみ影響する変異体の取得が今後も求められる。しかし、今回得られた変異体は確かに核酸結合に影響が出ており、さらに改良することでより効果的な変異体にできる可能性は高いため、今後も引き続き検討を進めていく。 一方で高速AFMの解析条件の検討では以前よりも高い分解能を得られるようになっており、ヘテロダイマーの構造変化への知見が得られる可能性も高くなった。核酸結合状態を高分解能で観察することが可能であれば、核酸結合領域の候補の絞り込みにも有用である。核酸ータンパク質をクロスリンクすることも可能であり、マイカ基盤表面の処理方法によっても観察しやすい状況を作ることができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitroおよびin vivoにおける解析には、核酸結合能におけるUbc13/Mms2変異体が強力なツールとなる。2020年度内に効果的な変異体の取得は完了できなかったが、今後も引き続き進めていく予定である。in vivo解析での材料準備や条件検討はほぼ完了しているので、変異体が得られ次第、本解析に進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画よりも変異体取得に時間がかかっているが、多重変異の導入などによって、より効果的な変異体の取得が期待できており、今後もこの方向で進めていく。
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