蛋白質脱イミノ化酵素(PAD)の1つであるPAD3はキューティクル細胞に多量に存在し、共局在するS100A3蛋白質のArg51を選択的にシトルリン化する。S100A3はCa2+, Zn2+存在下でシトルリン化されると、二次構造・三次構造を変化させながら四量体化することに加え、両金属イオンとの結合親和性を上昇させる。これは毛髪角化に重要な生化学プロセスであると考えられる。 我々は、本研究課題の実施により、PAD3の立体構造を解明し、他のアイソザイムとの構造の類似点や相違点を明らかにした。また、S100A3のシトルリン化モデルとなる変異体を見出し、その物理化学的性質を明らかにすることに成功した。
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