カリオフェリンベータファミリーに属するインポーティン13(以下IPO13と略称)は、核-細胞質間高分子輸送を担う運搬体タンパク質の一種であり、非小細胞肺がんにおいて過剰発現することが知られている。IPO13は、がんの進展に関わる転写因子の核移行を担い、腫瘍細胞の増殖に寄与すると考えられている。本研究では、人工知能プログラムを用いて、がんの進展に関わる転写因子とIPO13の複合体の構造モデリングを行った。その結果、複合体形成の構造基盤に関して、以下の4点を強く示唆する興味深い結果を得た:(1)この転写因子のIPO13結合ドメインは球状に折れたたまれる;(2)超らせん構造をもつIPO13は超らせんの内側表面でこの転写因子を包み込み、広範な結合インターフェースを形成してこの転写因子に結合する;(3)この転写因子は酸性アミノ酸残基に富むIPO13内側表面との静電相互作用などの広範な相互作用ネットワークによりIPO13と特異的に結合する;(4)この転写因子はIPO13との結合に関してRanGTPと競合する。
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