大腸菌のペリプラズムには低pHストレス時に自らの構造を酸変性させて他の蛋白質を保護するHdeA/HdeBという2種の分子シャペロンが存在する。本研究では変性構造を機能的に利用するHdeAとBが変性構造よりアミロイド線維を形成する性質を持つことに注目し,この線維化反応の詳細な解析と両者の比較を通して蛋白質変性と線維化に関する知見を得た。HdeAとHdeBは共にpH 2でアミロイド線維を形成し,中性pHでは線維が再溶解する「可逆性」を見せた。更に,線維形成中の中間構造の検出,そして,線維形成後の緩やかな構造転移も確認され,両者の線維化反応が実験条件に極めて敏感で複雑なものである事が見いだされた。
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