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2021 年度 実施状況報告書

逆方向塩基伸長酵素のRNA認識多様性とその分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 19K06519
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

中村 彰良  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (10583891)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードX線結晶構造解析 / tRNA修飾 / アミノアシルtRNA合成酵素 / DNA/RNAポリメラーゼ / 核酸 / タンパク質 / 鋳型依存伸長反応 / 逆向き重合
研究実績の概要

核酸合成を担う酵素は全て5′-3′方向に塩基伸長するというのは長らく定説であったが、逆向きの3′-5′方向へ塩基伸長する酵素Thg1が発見され注目を浴びて いる。しかし、なぜThg1には逆方向の塩基伸長活性が現存するのか、その生物学的意義の解明には至っていない。最近Thg1がtRNA以外の多様なRNAを認識するこ とが示唆されているが、未だ生体内RNAは同定されておらず、Thg1がどのように多様なRNAを認識するか不明である。本研究では、ランダムRNAライブラリーから Thg1の基質となりうる新規RNAを探索し、Thg1との複合体の構造解析を行うことで、Thg1のRNA認識における多様性を解明することを目的としている。 2021年度は、機能解析を行い論文発表したヒトThg1のtRNAHis成熟におけるヌクレオチド認識機構(Nakamura A., et. al., (2021), RNA, 27(6) 665-675)をさらに発展させ、シロイヌナズナが有する2種類のThg1の機能解析に取り組んだ。過去の報告から、シロイヌナズナの2種類のThg1の欠損体の表現型が異なることから、生体内で別の機能を有することが示唆されている。本研究ではこれまでに、Thg1-1およびThg1-2を欠損したシロイヌナズナの表現型を確認し、すでに報告のある熱感受性を再現することができた。また、大腸菌発現系を用いてThg1-1は大量調製が可能であることを見出した。今後は両者の反応機構の違いから、Thg1のtRNA成熟以外の生体内機能の同定を試みる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はヒトThg1の生化学実験とミトコンドリアtRNAとの複合体の結晶構造をまとめ、論文発表した。さらに、機能が異なることが予想されるシロイヌナズナの2種類のThg1の機能解析に取り組み、サンプル調製など順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

ヒトThg1とランダムスクリーニングで取得したRNAとの共結晶構造解析を進め、その複合体構造からThg1のtRNA成熟以外の機能の同定を試みる。さらに、機能が異なるとされるシロイヌナズナの2種類のThg1の機能解析を進め、その反応機構の違いから新たな機能を推定する。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19による出勤制限、移動制限により研究遂行および成果発表が計画通りに行うことができなかった。次年度は学会発表などの成果発表への使用を計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Analysis of GTP addition in the reverse (3′-5′) direction by human tRNAHis guanylyltransferase2021

    • 著者名/発表者名
      Akiyoshi Nakamura, Daole Wang, Yasuo Komatsu
    • 雑誌名

      RNA

      巻: 27(6) ページ: 665-675

    • DOI

      10.1261/rna.078287.120

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] ヒト由来tRNAHisグアニルトランスフェラーゼによる逆方向(3′-5′)の塩基付加反応の解析とRNA5’末端修飾への応用2021

    • 著者名/発表者名
      中村 彰良、汪 道楽、小松 康雄
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] Human tRNAHis guanylyltransferaseのヌクレオチド認識機構の解明2021

    • 著者名/発表者名
      中村 彰良、汪 道楽、小松 康雄
    • 学会等名
      令和3年(2021年)度日本結晶学会年会

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公開日: 2022-12-28  

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