研究課題/領域番号 |
19K06524
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 秀明 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (40346169)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フェレドキシン / FNR / 超高分解能 / X線結晶構造解析 / 中性子結晶構造解析 / 放射線損傷 |
研究実績の概要 |
光合成生物のレドックス代謝反応の多くは、植物型フェレドキシン(Fd)に依存して駆動される。これまで、Fdとレドックス代謝酵素の複合体形成の研究では、反応が進行すると複合体が解離してしまうことから、全て「酸化型Fd」と「酸化型酵素」の非生理ペアを用いて研究が進められてきた。本研究提案では、再構成金属タンパク質を用いて、X線と中性子線とを効果的に併用することで、原理的に不可能と考えられてきた「酸化型」と「還元型」による活性型複合体の精密構造解析を行う。これまで、アミノ酸レベルで理解されてきたFdとレドックス代謝酵素の相互作用を水素原子も含めた全ての原子位置を基に理解し、関連研究に新風をもたらすことを目的とする。これまでにFdとFdが電子を渡す相手であるFNRの超高分解能X線結晶構造解析、さらには放射線損傷による還元を考慮しながらデータ収集を行った超精密構造解析については結果を得ることに成功した。これまで報告されていたFdやFNRの超高分解能構造は、放射線損傷による影響で酸化型と還元型が混ざった状態であった。しかし、今回の超高精度構造解析の結果、完全酸化型および完全還元型Fdの構造を超高分解能で決定する事に成功し、FdおよびFNRの酸化還元に伴う微細な構造変化を明らかにすることができた。また、FdおよびFNRの中性子回折実験を行い、どちらも2オングストローム以上の反射が得られる事を確認している。今後はFd(red)のアナログであるS46G変異体およびFd(oxi)のアナログであるGaFdを用いる事で安定な複合体結晶を得て、両者の構造を超高分解能X線結晶構造解析と中性子結晶構造解析を用いたハイブリッド構造解析によって決定し、水素原子を含めた精密な全原子座標をもとに電子伝達および逆流防止メカニズムの解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにFdとFdが電子を渡す相手であるFNRの超高分解能X線結晶構造解析、さらには放射線損傷による還元を考慮しながらデータ収集を行った超精密構造解析については結果を得ることに成功した。また、FdおよびFNRの中性子回折実験を行い、どちらも2オングストローム以上の反射が得られる事を確認している。Fdの超精密構造解析の結果からは、Fdの完全酸化型および完全還元型の構造決定に成功し、FdからFNRに電子が受け渡された後に起こると考えられる微細な構造変化を観察することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はFdおよびFNRの中性子回折強度データの収集に取り組む。どちらもテスト実験では2オングストローム以上の反射が得られる事を確認しており、令和2年度中にフルセットデータを収集する予定である。また、最終年度には活性型複合体の中性子回折強度データの収集に取り組む予定である。また、Fd(red)のアナログであるS46G変異体およびFd(oxi)のアナログであるGaFdを用いる事で安定な複合体結晶を得て、両者の構造を超高分解能X線結晶構造解析と中性子結晶構造解析を用いたハイブリッド構造解析によって決定し、水素原子を含めた精密な全原子座標をもとに電子伝達および逆流防止メカニズムの解明を目指す。
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