研究課題/領域番号 |
19K06526
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
田中 良樹 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (10632333)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 膜タンパク質 / 結晶構造解析 / クライオ電子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
生命活動を維持するためには細胞内の各種代謝産物の濃度を一定の範囲に維持し、細胞内恒常性を保っておく必要がある。例として、金属イオンは生命活動の為に必須となる一方で,必要以上の濃度では酵素活性を阻害したりタンパク質の構造を不安定化するなどして、細胞に障害を与えることがある。本研究計画においては、金属イオンを輸送して細胞内の恒常性を維持する膜タンパク質輸送体ファミリーに着目し、それらの三次元構造を決定して構造面からの機能理解を目指して研究を進めている。本研究課題の解析目標である亜鉛輸送体ファミリーに関しては、30種ほどの真核生物から輸送体の遺伝子を選択して遺伝子合成によりDNAを調製した。ベクターヘクローニングを行い、酵母発現系を利用した大量発現条件の検討を進めた。 大量発現を確認した系を用いて酵母を大量培養し、解析サンプルを大量調製した。膜画分を取り出し、そこから結晶化に使用可能な高純度サンプルを得るための精製系の検討を進め、最終的に結晶化のための質と量の両方の条件を満たす精製系の構築を達成した。 これまでの実験により単独での高分解能構造解析の達成が困難であることがわかったため、高純度に単離精製した解析対象サンプルを用いて、特異的結合抗体を作製した。作製した抗体とサンプルの結合を確認しつつ、抗体との複合体結晶化や脂質ナノディスク再構成、電子顕微鏡測定を行った。本年度までの実験の結果、低分解能の回折を示す結晶と、予備的な電子顕微鏡像が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作製した抗体とサンプルが結合することが確認できた。 電子顕微鏡像が得られたことで、精製した解析対象タンパク質の安定性が確認でき、構造決定へ一歩近づいた。
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今後の研究の推進方策 |
複数の抗体が存在し、それぞれの結合強度や構造安定性への寄与が異なると考えられるため、慎重に評価しつつ結晶化および電子顕微鏡測定を行って構造決定を達成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費用が少なく済んだため。翌年度に、遺伝子合成や電子顕微鏡測定およびデータ解析機器用の費用として使用予定。
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