本研究では,新規がん免疫治療薬の標的として考えられている脂質代謝酵素DGKαの触媒機構,活性制御機構の構造基盤の解明を目的とした.まず,昆虫細胞発現系を用いて高純度のDGKαを調製し,結晶化を試みたが,結晶を得ることができなかった.打開策として,クライオ電顕単粒子解析による構造決定を目指し,抗DGKα抗体Fab断片との複合体を調製し,解析を進めた.また,N末端のEF領域がCa2+結合によりモルテングロビュールの状態から,コンパクトな状態へと変化し,その構造変化が隣接するRVH領域との相互作用を変化することをNMR, X線小角散乱等の物理化学的測定により明らかにした.
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