研究課題/領域番号 |
19K06531
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
橋川 直也 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (60434982)
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研究分担者 |
桜井 博 金沢大学, 保健学系, 教授 (00225848)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | うつ病 / 熱ショックタンパク質 / ミスフォールディング / HSP / マウス |
研究実績の概要 |
タンパク質のミスフォールディングが原因でうつ病が発症することを明らかにするため、マウスに社会敗北ストレスを与え、脳海馬において凝集するタンパク質の探索を行った。赤外顕微鏡、低波数顕微ラマン等などの解析では、明確な差が認められなかったが、生物学的な手法を用いることにより、Aタンパク質が社会敗北ストレスを与えたマウスにおいて増加することが明らかとなった。Aタンパク質の発現を抑えることで、うつ様行動を抑制できるか明らかにするため、Aタンパク質モノクローナル抗体投与による解析を行う予定である。現在、3種類のハイブリドーマを共同研究者や企業から入手し、抗体の精製を行っている。また、抗体の腹腔内投与で、脳脊髄液、および脳海馬に取り込まれる割合、および期間の解析を行い、適切な投与量を決定した。 さらに、Aタンパク質を脳室内投与することにより、マウスにうつ様行動を引き起こさせることも明らかとなった。以前我々は、熱ショックタンパク質(HSP)を発現誘導することにより、社会敗北ストレス負荷マウスのうつ様行動が抑制されることを報告している。HSPがAタンパク質のフォールディングを正常化することにより、うつ様行動を抑制したのではと考え、現在、マウスにタンパク質Aを投与し、同時にHSP発現誘導を行い解析を行っている。 以上のことより、うつ病発症メカニズムとして、タンパク質のミスフォールディングが関わる可能性が示唆された。今後、タンパク質Aとうつ病発症の関係性を詳細に解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、物理学的な解析と組織学的な解析を行い、目的とするタンパク質を絞ることができた。うつ様行動との関係は今後詳細に検討することが必要であるが、うつ病症状にタンパク質のミスフォールディングが関与している可能性が示唆された。以上のことから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
社会敗北ストレス負荷マウスにおいて、Aタンパク質に対するモノクローナル抗体を投与し、うつ様行動とAタンパク質との関係を明らかにする。また、Aタンパク質のミスフォールディングを熱ショックタンパク質が修復することができるか検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスにより予定していた学会が中止となったため。 約20万円の機器を購入予定。
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