研究課題
基盤研究(C)
本研究では、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析により得られた実験データから、タンパク質の立体構造を精密にモデリングするための方法として、SAUA-FFR法を開発した。これにより従来の方法と比べて、タンパク質の二次構造をより正確に再現でき、また、タンパク質らしい構造を候補構造モデルの中から選択することが可能になった。本手法は分子動力学計算ソフトウェアGENESISに実装され、無償で利用できる。また、本手法に関するわかりやすいチュートリアルについても GENESIS のウェブサイト内で公開した。
計算生物物理学
蛋白質科学を医学あるいは薬学に応用するためには、タンパク質の構造と機能を正しく理解する必要がある。そのためには、タンパク質の立体構造を実験データから精密にモデリングする必要がある。現在の構造生物学において、単粒子解析を用いたタンパク質の立体構造モデリングは世界的に広く行われているが、得られた構造の妥当性の検証法、あるいは妥当な構造を選ぶ方法論の開発は未だ不十分である。本研究で開発したプロトコルは、合理的に妥当な構造モデルを選ぶ方法でもあり、本研究は蛋白質科学の発展に大きく貢献したと考えている。