C型肝炎ウィルス (HCV) のIRESによる翻訳機構の全容はまだ明らかになっていない。報告者らは、HCV IRESが遊離状態の40Sリボソームサブユニットのみならず、cap依存的翻訳反応中の80Sリボソームもハイジャックしうることを、1分子観察により明らかにした。 HCV IRESの翻訳には、翻訳開始因子eIF3が必要であるが、その役割は不明であった。クライオ電子顕微鏡により、HCV IRES依存的翻訳中のリボソームにeIF3が結合した新規複合体の構造を明らかにした。この構造と質量分析により、eIF3が翻訳開始過程のみならず、翻訳サイクルの様々な段階で、多様な役割を担うことが示唆された。
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