本研究では気道繊毛細胞に発現する微小管結合蛋白質をコードする遺伝子の欠損マウスで見出された予想外の表現型を解析した。電子顕微鏡による観察から欠損マウスでは不飽和脂肪酸の過酸化により生じるリポフスチンが多数認められる事を確認した。リポフスチンが形成する理由について細胞内環境の還元化を担う酵素群の観点から解析を実施したが手掛かりは得られなかった。一方、研究開始前には気付いていなかった観点として欠損マウスにおいて粘液顆粒を有する気道繊毛細胞の割合が野生型マウスに比べて増加している事が判明した。共焦点顕微鏡観察からもこの点が裏付けられ、欠損マウスでは気道繊毛細胞の分化に異常をきたしている事が分かった。
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