研究課題
基盤研究(C)
紅色光合成細菌は、植物やシアノバクテリアが利用しない近赤外光を有用なエネルギーに変換することにより光合成を営んでいるが、その詳細なメカニズムは不明である。本研究では、様々な紅色光合成細菌が有する光捕集1反応中心色素タンパク質複合体(光合成反応を担う心臓部)を物理化学的なアプローチで調査することにより、①なぜエネルギーの低い近赤外光を利用できるのか、②どのように効率的なエネルギー変換を可能にしているのかについて、メカニズムの一端を解明する重要な知見を得た。
生物物理
持続可能な社会の構築においてエネルギー資源の問題は最も重要な問題の一つである。近赤外光は地上に降り注ぐ太陽光の約4割を占めるが、そのエネルギーの低さ故に未利用のエネルギー資源となっている。原始の光合成生物である紅色光合成細菌は、この低エネルギーの近赤外光を有用なエネルギーに変換する能力を備えており、そのメカニズムの解明は近赤外応答型人工光合成システム基盤創出の可能性を秘めたおり、エネルギー資源の問題解決に繋がる重要な課題である。