研究課題
エンドサイトーシスは細胞外の物質を細胞内へと取り込む機構であり、栄養物質の摂取、免疫応答機構などの基本的生命現象に必要であるほか、細胞の癌化や病原ウィルスの感染等とも深く関わっている。また、エンドサイトーシスはリガンドにより活性化された細胞膜受容体を不活性化する過程においても重要な役割を果たしている。この過程において、活性化受容体はまずエンドサイトーシスにより細胞内に取込まれ、初期エンドソームへと輸送される。初期エンドソームに輸送された受容体はリガンドと解離し、リサイクリング経路により細胞膜へと戻される。一方、受容体から解離したリガンド、および受容体の一部は、後期エンドソームを経てリソソームへと輸送され、分解される。この受容体の分解、リサイクリング機構は出芽酵母から哺乳類細胞に至る全ての真核細胞で広く保存されており、様々な細胞外シグナルの活性制御において重要な役割を果たしている。本研究の目的は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)のエンドサイトーシスによる受容体の分解、リサイクリング機構を明らかにすることである。これらの目的について、本研究では、研究課題①GPCRがクラスリン小胞に取り込まれる分子機構の解明、課題②GPCRのクラスリン小胞から初期エンドソームへの輸送機構の解明、課題③GPCRの初期エンドソームでのリサイクリング機構の解明、および課題④GPCRの初期-後期エンドソームへ輸送におけるRabタンパクの機能解析、の4つの課題について研究を実施した。この中で、研究課題①についてはEps15ホモログであるPan1依存的な取り込み機構を明らかした。課題②③については、初期エンドソームの同定に成功し、酵母シンタキシン依存的な輸送機構を見出した。また、課題④については、エンドソーム形成の制御因子であるRab5がゴルジ体からの小胞輸送依存的に活性化する機構を明らかにした。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (18件)
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Biomembranes
巻: 1864 ページ: 183858~183858
10.1016/j.bbamem.2021.183858
Journal of Biological Chemistry
巻: 297 ページ: 101254~101254
10.1016/j.jbc.2021.101254