研究課題
基盤研究(C)
糖鎖の構造は多様かつ細胞種特異的であるだけでなく、細胞の分化、活性化に伴い劇的に変化しており、糖鎖は病原体の感染成立や細胞自身の機能制御において重要な役割を果たす。コンドロイチン硫酸の6位硫酸化酵素であるC6ST-1をマウスで欠損させると肺炎球菌に対する感受性が著しく低下することを見出したことから、C6ST-1 欠損マウスの免疫系の解析を進めた結果、C6ST-1の欠損が炎症誘導の異常をもたらす可能性が示唆された。
糖鎖生物学
肺炎球菌は肺炎や敗血症、細菌性髄膜炎の主たる原因菌である。肺炎球菌感染による細菌性髄膜炎では、脳内への薬物移行性の問題から抗菌薬の選択肢が限られている。本研究で得られた結果をさらに発展させることにより、これまで標的として理解されていなかったコンドロイチン硫酸の免疫系における機能、肺炎球菌の感染における役割が明らかになれば、肺炎球菌感染症の新たな治療薬、ワクチンの開発にもつながると期待される。