研究実績の概要 |
原子間力顕微鏡(AFM)を用いたATP超解像顕微鏡作製のために、前年度で開発したカンチレバー探針へのタンパク質結合方法を用いて同じく前年度精製したNano-Lantern (ATP1)を結合し、ATP添加による輝度上昇を観察しようとした。探針先端部へのタンパク質の結合を確認することができたものの、ATP添加によるシグナルはほとんど確認することができなかった。様々な原因を想定し、精製のやり直し、別の吸着方法での観察、測定機器・条件の変更等を行ったがあまり改善せず、結局発光によるプローブは多点観察を必要とするプローブ顕微鏡には不向きでないかと考え、蛍光輝度の変化でATPを検出するMaLion G (S. Arai et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 2018)に変更することに決定した。所有者に連絡を取り精製MaLion Gを入手、現在その評価を行っている最中である。共焦点・AFM融合顕微鏡作製に関しては前年度に引き続いて作業を続け、必要な部品の調達・組み立てを行い組み立てに関しては完了した。さらに加工したプレートヒーターとコントローラーを用いて温度制御システムを構築し、サンプル付近で温度を37℃に保つことができるようになった。今後は各機器を統合的に制御するシステムを構築し実際に稼働するかどうか試す。もし動作するようになればGFPを結合した探針を用いてAFMと蛍光の同時測定を行う。
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