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2020 年度 実施状況報告書

蛋白質構造形成に関する高次構造依存性の解明および新規分子力場の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K06589
研究機関広島市立大学

研究代表者

鷹野 優  広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (30403017)

研究分担者 近藤 寛子  北見工業大学, 工学部, 助教 (60700028)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード水素結合 / 二次構造 / 分子力場 / 蛋白質 / 分子動力学シミュレーション
研究実績の概要

二次構造中の水素結合エネルギーを定量的に見積もることは蛋白質の立体構造形成原理の理解に加え,分子力場の改良にも役立つ.昨年度は3_10ヘリックス(3_10H)およびπヘリックス(PiH)の水素結合エネルギーを量子化学計算により調べたが,本年度は隣接残基の影響を調べるためにモデル毎に水素結合形成による電子密度変化を解析するとともに,αヘリックス(AH)の結果との比較を行った.また,3種類のヘリックスについて,各長さのWhole helical structureモデルにおける水素結合結合1つあたりのエネルギーをnegative fragmentation approachを使って計算し,その平均値を求めた.基本的にヘリックス長が大きくなるにつれて平均エネルギーが下がる傾向が見られた.これは水素結合の協同作用を示しているかもしれない.現在,解析結果の論文にまとめているところである.
また、βシートやβターンにおける水素結合エネルギーの解析の準備も進めている.βシートについては,平行βシート(PB)と逆平行βシート(APB)の2種類について,それぞれ長さ1-5残基の2本鎖モデルを作成した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

二次構造形成において重要である水素結合エネルギーの二次構造依存性に関して、これまで調べられたαヘリックスに加え、3_10ヘリックスおよびπヘリックスについても、その構造依存性および構造依存性の原因を密度汎関数計算により明らかにでき、古典的な力場パラメータとするための基礎データをあつめることができたため。

今後の研究の推進方策

今後,βシートモデルについても,whole structureモデルに加えてminimal hydrogen bondモデルも作成し,negative fragmentation approachにより水素結合エネルギーを評価する予定である.計算には,ヘリックスモデルの解析と同様にB97D/6-31+G(d)法を用いる予定であるが,他の計算手法についても検討する.分子力場(Amber99SB)による水素結合エネルギーの計算も同様に行う.各二次構造の評価結果が揃った後に,さらに詳細な解析を行い,分子力場の改良について検討する予定である.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症拡大のため、参加予定の学会が中止やオンライン開催になったため、旅費の執行がなかったため。今年度の旅費や論文出版の費用として執行する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Spin‐projected QM/MM Free Energy Simulations for Oxidation Reaction of Guanine in B?DNA by Singlet Oxygen2021

    • 著者名/発表者名
      Saito Toru、Takano Yu
    • 雑誌名

      ChemPhysChem

      巻: 22 ページ: 561~568

    • DOI

      10.1002/cphc.202000978

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] PyDISH: database and analysis tools for heme porphyrin distortion in heme proteins2020

    • 著者名/発表者名
      Kondo Hiroko X、Kanematsu Yusuke、Masumoto Gen、Takano Yu
    • 雑誌名

      Database

      巻: 2020 ページ: baaa06

    • DOI

      10.1093/database/baaa066

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Quantitative assessment of reparameterized PM6 (rPM6) for hydrogen abstraction reactions2020

    • 著者名/発表者名
      Saito Toru、Kambara Hiroki、Takano Yu
    • 雑誌名

      Molecular Physics

      巻: 118 ページ: e1700313

    • DOI

      10.1080/00268976.2019.1700313

    • 査読あり
  • [学会発表] Analysis of an effect of mutations on the structure of CDR-H3 in the anti-HIV neutralizing antibody PG162020

    • 著者名/発表者名
      近藤寛子・桐林遼・黒田大祐・津本浩平・鷹野優
    • 学会等名
      第58回日本生物物理学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] PyDISH: Database and analysis tools for heme porphyrin distortion in heme proteins2020

    • 著者名/発表者名
      鷹野優・近藤寛子・兼松佑典・舛本現
    • 学会等名
      第58回日本生物物理学会年会
  • [学会発表] ヘムタンパク質におけるヘム周囲のタンパク質環境とヘムの歪みの網羅解析2020

    • 著者名/発表者名
      近藤寛子・藤井理則・谷岡卓磨・兼松佑典・吉田孝・鷹野優
    • 学会等名
      錯体化学会第70回討論会
  • [学会発表] ヘムの構造歪みデータベースおよび解析ツールPyDISHの開発2020

    • 著者名/発表者名
      鷹野優・近藤寛子・兼松佑典・舛本現
    • 学会等名
      日本コンピュータ化学会2020秋季年会

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公開日: 2021-12-27  

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