ケージド化合物を用いて、cAMPが引き起こす鞭毛波形変化過程および細胞内カルシウム濃度の挙動を詳細に解析した結果、ホヤ精子においてcAMPがカルシウム依存的、カルシウム非依存的の二つの条件下で異なる波形変化をもたらすことを明らかにした。またCNGチャネル阻害剤の精子走化性に対する効果を調べたところ、cAMP、過分極によって活性化されるCNGチャネルの一種HCNチャネルが精子走化性時のカルシウム排出に作用し、適切な波形変化を制御している可能性が示唆された。精子走化性における遊泳方向変換を正しいタイミングで誘導するためのシグナリング経路および鞭毛波制御の分子機構において新たな知見が得られた。
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