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2020 年度 実施状況報告書

ヘモグロビン結晶構造の半網羅的機能決定

研究課題

研究課題/領域番号 19K06601
研究機関自治医科大学

研究代表者

柴山 修哉  自治医科大学, 医学部, 教授 (20196439)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードヘモグロビン / アロステリー / アロステリックモデル / 結晶構造 / 酸素平衡曲線 / 多孔性シリカゲル / ゾル・ゲル法
研究実績の概要

ヘモグロビンはX線結晶構造解析法が最初に適用された蛋白質の一つであるが、その結晶構造と溶液中機能との関係が未だ整理されておらず、未解決の課題として残されている。本研究では、この点を踏まえ、結晶中ヘモグロビンの酸素平衡曲線測定による結晶構造の直接機能決定、及び、水を含む多孔性シリカゲル中で状態間遷移を凍結したヘモグロビンの状態解析を行う。当該年度は以下の研究課題を進めた。
【課題1】種々のR状態ヘモグロビン結晶の調製と酸素平衡曲線測定:R状態の酸素親和性を低下させる強力なエフェクターL35の結合したR状態ウマ・ヘモグロビン結晶(沈殿剤はPEG、結晶構造は既に報告済み)を作製し、酸素平衡曲線の測定を行った。この酸素平衡曲線の結果を、昨年度に測定したもう一つの強力なエフェクターbezafibrate(BZF)の結合したR状態ウマ・ヘモグロビン結晶(沈殿剤はPEG、結晶構造は既に報告済み)のそれと比較した。また、エフェクターなしのコントロールとして、既に構造が報告されている硫酸アンモニウムで結晶化したR状態ウマ・ヘモグロビン結晶についても酸素平衡曲線の測定を行った。これらの結果を統合して、両エフェクターともにR状態の酸素親和性を5倍程度低下させることが分かった。
【課題2】多孔性シリカゲルを用いた種々のT状態ヘモグロビンの状態解析:脱酸素型T状態ヘモグロビンの酸素親和性は溶液条件に依存して40倍以上変化することが古くから知られている。酸素親和性の異なる脱酸素型ヘモグロビンを溶液ごと透明な多孔性シリカゲルのゲルマトリックス中に閉じこめて酸素平衡機能測定を行った。酸素親和性の大幅に異なる(少なくとも)2種類のT状態の存在が示された。現在、T状態の構造多形性を低分子に対する反応速度の違いから示す実験に挑戦している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナウイルス感染防止のための研究制限要請に従い、当該年度前半に予定していた研究の進行が大幅に遅れた。

今後の研究の推進方策

今後は、当該年度に進行の遅れた多孔性シリカゲルを用いた状態解析実験を中心に進め、結晶の酸素平衡曲線の結果と合わせて、ヘモグロビンがとりうる全ての機能状態を明確に洗い出すまとめの作業に入る。

次年度使用額が生じた理由

当該年度前半にコロナウイルス感染防止のための研究制限と出張制限があったため、物品費と旅費の支出が予定より減少した。繰り越し分は、次年度に持ち越された研究課題を進めるための物品費、旅費、および、論文発表用の経費等に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Freezable and Unfreezable Hydration Water: Distinct Contributions to Protein Dynamics Revealed by Neutron Scattering2021

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Naoki、Kofu Maiko、Nakajima Kenji、Nakagawa Hiroshi、Shibayama Naoya
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry Letters

      巻: 12 ページ: 2172~2176

    • DOI

      10.1021/acs.jpclett.0c03786

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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