タンパク質分子の機能調節に関わる構造変化は、ヘモグロビン(Hb)の事例を下敷きとしてTense(T)状態とRelaxed(R)状態との間の2状態転移で説明されることが多い。しかし、肝心のHbでは、2状態モデル的な理解が定量的な意味で成功していない。HbはX線結晶構造解析法が最初に適用されたタンパク質の一つであるが、その結晶構造と溶液中機能との関係が未だ整理されておらず、未解決の課題として残されている。本研究では、結晶中Hbの酸素平衡曲線測定による結晶構造の直接機能決定、及び、水を含む多孔性シリカゲル中で状態間遷移を凍結したHbの機能解析を行い、Hbのとりうる構造と機能の関係を明らかにした。
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