研究課題/領域番号 |
19K06603
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研究機関 | 都城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
野口 太郎 都城工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90615866)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アクチン / 構造変化 |
研究実績の概要 |
アクチンフィラメントは細胞運動や細胞質分裂など細胞の様々な機能において中心的な役割を果たしている。アクチンフィラメントの多様な機能はアクチン結合タンパク質との相互作用によって付与されている。一方、細胞は、外部から受けた力を感知し、その機能を変化させる力応答性を持つことが知られている。 これまでのin vitroの実験において、アクチンフィラメントを構成するアクチンサブユニットの分子構造は力によって変化することが示唆されている。また、アクチンの分子構造変化はアクチン結合タンパク質との親和性に影響することが明らかにされている。 これらのことから細胞が外力を受けると、細胞内のアクチンフィラメントの分子構造が変化し、これによって細胞内のアクチン結合タンパク質の再配置が起こる可能性が考えられた。実際、これまでに細胞に力を加えると、ミオシンなどのアクチン結合タンパク質が集積するなどの報告がされている。 本研究では、この仮説を検証するため、アクチンフィラメントに張力を加えた際のアクチンサブユニットの構造変化と、アクチン結合タンパク質との親和性変化を調査する。アクチンサブユニットの構造変化の検出にはFRETアクチンを用いる。蛍光顕微鏡下でFRETアクチンを含むアクチンフィラメントの一端をビーズに固定し、もう一端をマイクロニードルを用いて引っ張ることで張力を付加する。これまでに、FRETアクチンの調製とビーズへのアクチンフィラメントの結合について条件検討を行い、これらの検討については完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、研究協力者であった学生が実験を行うことができず、予定より計画が遅れることになった。また、一部の研究関連物品についても新型コロナウイルスの影響により納品が困難、または遅れる状況がたびたび生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はアクチンフィラメントへの張力の負荷に伴うアクチン分子構造の変化、およびアクチン結合タンパク質の親和性に与える影響について評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、研究進捗に遅延が生じ、予定していた一部の実験を行えなかった。そのため、予算を全て使用することなく、残が生じた。2020年度に実施できなかった張力付加に伴う構造変化の測定およびアクチン結合タンパク質との親和性測定については2021年度に繰り越して実施予定である。実験の延期に伴い、これらの実験にかかる予算についても繰り越す必要が生じた。
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