研究課題/領域番号 |
19K06608
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松村 欣宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (20375257)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脂肪組織 / 神経 / エピゲノム / ヒストン脱メチル化 / 代謝制御 / 摂食制御 |
研究実績の概要 |
生活習慣病は多臓器の連関に起因する複雑系として捉えることができ、病態を組織横断的に理解することが求められている。本研究では脂肪組織と神経の情報伝達に着目し、肥満と代謝異常を呈するヒストン脱メチル化酵素欠損マウスをモデルとし、組織間の情報伝達を記憶するエピゲノム機構を明らかにすることを目的とする。 ヒストン H3 9番目のリジン (H3K9) 脱メチル化酵素 JMJD1A のノックアウトマウスは、絶食下において交感神経系の刺激を受けても、白色脂肪組織での脂肪分解が起こりにくく、蓄えたエネルギーを消費しにくい表現型を示す。交感神経系を介した白色脂肪組織の機能異常のメカニズムを明らかにするために、若齢の野生型および JMJD1A ノックアウトマウスの皮下白色脂肪組織の間質血管細胞群を用いて、シングルセル RNA-シークエンス解析を行った。遺伝子発現パターンから、間質血管細胞群を前駆脂肪細胞、線維芽細胞、 血球細胞など複数の細胞種に分類することができた。また JMJD1A の遺伝子欠損によって、ある特定の細胞種において発現が変動する遺伝子群を見出した。 さらに、肥満や脂肪組織の機能異常がエピゲノム変化に起因するかを明らかにするために、JMJD1A のヒストン脱メチル化酵素活性部位に一アミノ酸変異を導入したノックインマウスを作製し、 表現型の解析を行った。ノックインマウスは、通常食下において野生型マウスに比べ肥満を呈し、インスリン抵抗性、耐糖能の異常を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標は、交感神経系による白色脂肪細胞の代謝制御とエピゲノム機構を明らかにすることである。JMJD1A ノックアウトマウスの脂肪組織の間質血管細胞群のシングルセル RNA-シークエンス解析を行い、単一細胞レベルでの遺伝子発現解析に成功した。また、肥満や脂肪組織の機能異常がエピゲノム変化に起因するかを明らかにするために、JMJD1A の酵素活性部位に点変異を導入したノックインマウスを作製し、予想される表現型を得ることができた。よって初年度の研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
得られた脂肪組織の間質血管細胞群のシングルセル RNA-シークエンスの結果について、さらに詳細な解析を行い、交感神経系による脂肪組織の代謝制御とエピゲノム機構を明らかにする。また、脂肪組織による摂食中枢のエピゲノム制御機構を明らかにするために、JMJD1A ノックアウトマウスの脳視床下部において、シングルセル RNA-シークエンス解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に予定していた次世代シークエンス解析の一部を、次年度に行うことになったため。
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