研究課題
真核生物のゲノムDNAは、ヒストンH2A、H2B、H3、H4からなるヒストン八量体に巻きついたヌクレオソームを基本単位としてクロマチンを形成している。クロマチンは、さらに高次に折りたたまれ、構造的・機能的に異なる区画を形成して遺伝子発現やゲノムの安定性を制御している。構成的ヘテロクロマチンは、繰り返し配列を多く含み、転写やDNA組換えに対し抑制的に働き、ゲノムの安定化に寄与していると考えられている。この領域は、ヒストンH3の9番目のリシン残基のジメチル/トリメチル化(H3K9me2/3)をエピジェネティックマークとする。H3K9me2/3は、主に、ヒストンメチル基転移酵素であるSUV39Hファミリーにより導入され、ヘテロクロマチンタンパク質(HP1)による認識と結合がヘテロクロマチン形成の基盤になると考えられているが、ヘテロクロマチン領域にH3K9me2/3が導入され維持される機構には不明な点が多く残されている。本研究は、構成的ヘテロクロマチンの形成と維持の機構を明らかにするため、HP1およびSUV39Hとヌクレオソームとの複合体の構造を解明することを目的としている。2021年度は、活性を持つSUV39H酵素の精製系を検討した。さらに、ヌクレオソームへの結合活性およびメチル化活性が増大するSUV39H変異体の検索を行った。また、HP1とヌクレオソーム複合体を試料にクライオ電子線トモグラフィーを行い、これらの立体構造を解析した。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Nucleic Acids Research
巻: 49 ページ: 8934~8946
10.1093/nar/gkab644